連帯経済情報@日本語

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このブログは連帯経済のほうがメインですが、連帯経済はその先駆者とも呼ぶべき社会的経済と一体化して社会的連帯経済と呼ばれることも少なくありません。この社会的連帯経済は、ここ数年アジア諸国でも話題になることが増えてきましたが、当初(2005年頃まで)はラテン欧州(仏伊西)・ケベックおよび中南米といったラテン諸国でのみ認識されてきた概念と言ってもかまわないでしょう。

その一方で、英米など英語圏諸国、そして韓国や香港、東南アジアなど一般的に、社会的連帯経済よりは社会的企業のほうが話題になることが多いと思います。

このように、利益追求一辺倒ではない経済という概念自体は、英語圏諸国にもラテン諸国にも存在しますが、英語圏では社会的企業、そしてラテン諸国では社会的連帯経済という概念が一般的です。

この理由として考えられるのが、両概念が生まれた1980年前後における英米と仏の政治体制の差です。英米はサッチャー、レーガン両政権の下で新自由主義的改革が始まった時代でしたが、その際に新自由主義だけではうまく行かない点として社会的企業が、あくまでも営利企業という資本主義の枠組みを守った上で、その中で注目されたと言えます。その一方で、そのような新自由主義に懐疑的だったフランスで誕生したミッテラン政権(社会党)は、資本主義の枠にとらわれずに、協同組合やNPO(仏ではアソシアシオン)、共済組合などが主役となる社会的経済という概念が注目され、ラテン諸国を中心に広がっていったものと思います。

その後、1990年代以降になると、英語圏とのつながりが強いアジア諸国でも社会的企業という考えが入ってきたのに対し、新自由主義に辟易していた中南米では、社会的経済をさらに進めた連帯経済という考え方が生まれ、欧州にも逆輸出しながら社会的連帯経済という形で統合されていったと言えます。

アジアの場合、政治的・経済的・言語的そして文化的にラテン世界よりもアングロサクソン諸国とのつながりが強いため、社会的企業という表現およびその表現で言及される概念が普及することになりましたが、ラテン的連帯経済の流れ(協同組合など非資本主義的概念)と合流するのか、それとも今後もアジア的連帯経済(社会的企業がメイン)のままになるのか、注目すべき点だと思います。

2010年11月29日(月)と30日(火)に韓国・ソウル市で開催されたアジア社会的企業家サミット2010の報告書を別のブログに上げましたので、報告します。ご覧になりたい方は、お手数ですがこちらをクリックしていただければ幸いです。

中南米や欧州を中心として、その他の地域でも発展しつつある連帯経済(英: solidarity economy、仏: économie solidaire、西: economía solidaria、葡: economia solidária)については、この運動が主に非英語圏(フランス、イタリア、スペイン、カナダ・ケベック州、中南米など)で盛んであることもあって、日本ではほとんど知られていません。そのため、このブログを通じて世界各地の情報を少しずつ伝えてゆきたいと思います。



  • なし
  • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
  • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
  • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると