連帯経済情報@日本語

Archive for 11月 2010

第3回アジア連帯経済フォーラムの開催日が決まりました。来年11月1日(火)から4日(金)まで、マレーシアの首都クアラルンプール市内で開催されます。なお、今回のテーマは「地域社会の社会経済的変革の道具としての社会的企業」(Social Enterprise as a vehicle for socio-economic Transformation of communities)です。

現在のところ公式サイトは開設されていませんが、asiaforum2011kl@gmail.com (英語)で詳細の問い合わせが可能です。また、http://asianforum2011kl.blogspot.com が近日中にも開設される予定です。

1年近く先のイベントですが、今から予定を空けていただければ幸いです。

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現在の日本では労働運動などの関係者でない限り、日常生活において「連帯」という単語を使わないと思いますが、「連帯」という単語を理解せずに連帯経済」は理解できないと思いますので、辞書的な定義からスタートしたいと思います。

スペインにはスペイン王立アカデミーというところがあり、ここがスペインのみならず中南米諸国でも最も権威のあるスペイン語の辞書を編纂していますが、この辞書によると「連帯」(solidaridad)は、「他人の主張あるいは取り組みに対して、状況に応じて参加・支援すること」と定義されています。ですので、日本でも以下のような場合には「連帯」が成立することになります(ただ、日本ではこれらの場合には、決して「連帯」という表現は使われませんが)。

  • 赤い羽根共同募金に100円寄付する場合
  • 災害被災地の救援活動にボランティアで参加する場合
  • 北朝鮮拉致被害者の帰国に向けた支援を行う場合

このような「連帯」を経済活動において実施しているのが連帯経済であることは自明ですが、具体的には社会的紐帯という「主張」や社会的企業あるいは協同組合といった「事業」に対して連帯しているような気がします。そのため、主張さえ共有できれば、たとえばヨーロッパや南米の人でも、パレスチナ難民のように遠い国の赤の他人にも連帯することができるのです。

現在の日本で比較的「連帯」に近い内容で使われている単語として思いつくのが「ふれあい」ですが、これは本来の「物理的相互接触」という意味ではなく、場所を共有した場合の「情緒的交流」という意味で使われていることが多いと思います(例: 「高齢者とのふれあい、動物とのふれあい」)。そのため、たとえばインターネットを介したコミュニケーションには「ふれあい」という表現が使われませんし、ましてや遠い外国の人たちとの場合、何らかの形でその人たちと直接会わない限り、「ふれあい」という表現は使われません。また、「震災の被災者とのふれあい」は精神的ケアにはつながっても、その被災者が抱えている問題(たとえば倒壊住宅の再建や、震災により失業した人の場合には再就職)の解決にはあまり関係ないような気がします。

個人的には、「連帯」という概念を日常生活で使わない一般の日本の方に「連帯」という概念をわかってもらわなければならない点が、日本で連帯経済を推進する上での大きな壁になっているような気がするのですが、いかがでしょうか?

連帯経済だけが扱われているわけではありませんが、連帯経済とかなり関係の深い事例が紹介されているドキュメンタリー「カタロニア賛歌II」(62分)がオンライン公開されましたので、ご紹介したいと思います。

この中で紹介されている事例全てが連帯経済であるとは申しませんが、この中でも有機農業や消費者生協(日本のものと比べると零細ではありますが)、交換フリマや倫理銀行(日本のNPOバンクに相当するが、日本のものよりは規模が大きい)、住宅生協やフリーソフトなどは、連帯経済の事例と言えるでしょう。

以前もご紹介しましたようにブラジルでは連邦政府の労働雇用省に連帯経済局(SENAES)が設置されていますが、連帯経済局がニューズレター第17号を発行しましたので、お知らせしたいと思います。

http://www.mte.gov.br/ecosolidaria/Acontece_SENAES_17_ed.pdf (ポルトガル語)

なお、内容は以下の通りです。

  • ルラ大統領、全国連帯経済評議会とともに大統領令に署名(11月17日)
  • オザスコ市(サンパウロ都市圏に存在)、第1回全国文化連帯経済会議を開催(11月24日・25日、なおニューズレター刊行時点では「開催予定」)
  • サルバドール市(北東部バイア州の州都で、植民地時代の首都)、全国連帯経済見本市を開催(12月8日~12日)
  • ブラジル政府連帯経済局、キューバに派遣(公務員の大量解雇が予定されているキューバで、連帯経済の推進を目的にブラジル政府から連帯経済局関係者が11月8日から12日の予定で同国を訪問)
  • リオ・ブランコ市(ブラジル北西部アマゾン地域のアクレ州の州都)、第2回連帯経済・家族農業国際アマゾン見本市と第1回連帯経済製品・サービス国際見本市を開催(10月20日~24日)

なお、バックナンバー(第1号~第16号)は、こちらでご覧になれます。

アルゼンチンはブエノスアイレス北郊のサン・フェルナンド市でで11月1日と2日に、同国各地から20団体が参加して、全国社会的連帯経済スペース(Espacio Nacional de Economía Social y Solidaria, ENESS)の第1回会合が開かれたという情報が入ってきました。
http: //www.economiasolidaria.org/noticias/sin_prisa_pero_sin_pausa_vamos_construyendo_otra_economia (スペイン語)

この会議では、社会的連帯経済の意味付け、地域組織や作業軸、また、南米統合という枠組みを視野に入れつつ、アルゼンチン全国各地にある連帯経済以外の団体や企業との関連性が主に話し合われました。会議録については作成中とのことですが、アルゼンチンではこれまで全国レベルでの連帯経済のネットワークが存在していなかったこともあり、今後の展開が楽しみです。

来年10月17日(月)から20日(木)までカナダ・モントリオール市で社会的連帯経済国際フォーラムが開催されますが、そのサイトが開設されましたのでご紹介します。

http://www.fiess2011.org/ (英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語)

今のところ4言語の内容が合致していなかったり、ポルトガル語版に至っては作成途中だったりしますが、今後このサイトを通じて同会議の詳細が伝えられるものと思います。

なお、こちらによると、会議の目的および議題は以下の通りです。

  1. 南北諸国から社会的連帯経済の主要プレイヤー、そして政府や労働組合、研究機関や国際機関におけるパートナーに集まってもらう。
  2. 参加国の市民社会と、社会的連帯経済をサポートする政府との間でのパートナーシップの強化を促す。
  3. とりわけ公共政策の策定において成功を収めたパートナーシップを強調する。
  4. 国際的、および大陸間レベルで社会的連帯経済に関しての情報交換を促す。

会議での主要テーマ

  • 地域社会と地域発展(日本でいうところのまちづくりも入る)
  • 革新と集団的企業家
  • 連帯金融と貿易(日本でいうところのNPO金融がこれに含まれる)
  • 労働と雇用
  • 食の安全と食料主権

世界の連帯経済の動向を知るにはよい会議ですので、ご都合がつきそうな方はぜひともご参加くださいませ。

昨日(11月17日(水))にブラジルで開催された全国連帯経済評議会で、フェア連帯トレードシステムがブラジル政府レベルで導入(政府レベルでは世界初!)されることになりました。また、協同組合インキュベーター全国プログラムも公式に制定されることになったようです(この制度自体は1997年から存在)。

なお、この評議会にはルラ大統領も駆けつけ、2003年の連帯経済局創設以来の努力について高い評価を示しています。ご存知の通りブラジルでは来年1月1日に大統領が交代しますが、次期大統領もこの路線を継承するものと見られています。



  • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
  • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
  • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると