連帯経済情報@日本語

Archive for 1月 2011

さて、フェアトレードではいろんなものが取り扱われていますが、スペインではフェアトレードの商品としてコンドームの販売が始まったというニュースが入りましたので、お届けしたいと思います。

http://www.economiasolidaria.org/noticias/preservativos_de_comercio_justo (スペイン語)

これはもともとドイツ産のコンドームのようですが、スリランカでフェアトレードの原則の下で生産されたゴムを材料としているようです。ちなみにお値段は、12個で6.01ユーロ(約670円)となっています。

日本でも、フェアトレードのコンドームが出てきてほしいものですが…。

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さて、ポルトガルで社会的経済全国評議会(Conselho Nacional da Economia Social)が創設されたというニュースが入ってきましたので、お届けしたいと思います。

http://sic.sapo.pt/online/noticias/dinheiro/Governo+lanca+orgao+para+promover+economia+social.htm?wbc_purpose=basi%252525 (ポルトガル語)

ポルトガルも経済危機の影響がかなりひどい国ですが、こういう時期だからこそ社会的経済に力を入れようとしているようです。まずは2000万ユーロ(約22億円)のマイクロクレジットの実施から始めるようですが、これからどの程度連帯経済がポルトガルでも浸透するか楽しみです。

さて、今日は連帯という概念について、連帯経済の分野で有名な学者であるチリのルイス・ラセト(Luis Razeto)氏が発表した論文について、ちょっと紹介したいと思います。

http://www.luisrazeto.net/content/el-concepto-solidaridad (スペイン語)

連帯経済を日本国内で紹介する上で、何よりもの障害となるのが、そもそも日本で「連帯」という概念が存在しないことです。この連帯という概念について、ラセト氏は以下のように説明しています。

連帯という単語はスペイン語ではsolidaridad(他のラテン系言語も似たような形)と言いますが、スペイン語圏で最も権威のあるスペイン王立アカデミーの辞書によりますと、この単語はラテン語(2000年前のローマ帝国時代のことば)の”solidus”という単語を期限としており、以下の3つの意味があるということです。

  1. 硬い、厚い、強い(英語のsolidもこの意味)
  2. 固体(英語のsolidと同じ意味)
  3. 正当な理由により定着したもの。

また、日本語の「連帯保証人」に当たる用法にも言及しており、「ある人の主義主張あるいは取り組みに対して、他の人が自分のものとして参加する」という意味も紹介しています。

また、ラセト氏はイタリア語にも堪能ですが、イタリア語の”solidarietà”という単語の場合には、以下の意味があります。

  1. 必要に対して複数の個人が協力・相互支援する絆。
  2. 自らが参加するコミュニティと各個人を、そして各個人同士を結ぶ一連の絆
  3. 人的連帯、すなわち感情・意見、困難、苦痛および良心による行動の共有
  4. 法律用語では、複数の債務者の義務を特徴付けるものであり、これにより各個人が債務総額に責任を負うことができ、誰かによる債務の返済でその他の人も債権者への債務を免除される(連帯保証人の意味)

4の意味は、「お前にカネがないのはわかってるから、オレがお前の借金を代わりに返してやろう。ほい、これで借金帳消しだろう?オレに借りがあるって?何言ってんだよ、お前の借金はオレの借金でもあるんだから、気にすんな。お前、オレの仲間なんだから」みたいな感覚のものと考えてもらえばいいでしょう。

このような定義から、連帯の本来の、そして学術的な意味は、「団体、結社あるいはコミュニティを構成する個人の間のヨコのつながり」で、その参加者間
には「平等」な人間関係があるということです。また、このような人間関係を傷歌目には、「個人間の強い結びつき」が必要となります。そして、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」が何よりも大切になるのです。

とはいえ、連帯という表現が今日では、特にマスコミによって乱用されているのも確かです。特にただの補助金給付やチャリティ(寄付)活動などでも「連帯」という表現が使われていますが、これにより連帯の5つの基本が歪曲されているとラセト氏は語ります。

  • a) (液体や気体ではなく)固体のように確固たるものとして、事実あるいは連帯に基づいた事実を築き上げるような集団としての相互作用。
  • b) 連帯する個人間での状況、取り組みあるいは義務の平等性
  • c) 相互扶助の絆、および団体あるいはコミュニティへの参加を通じて、全員が関係を築くこと。
  • d) 強固で明確に定義され、真実に基づいた根源的理由によって確立したものとして集団を構築する相互団結の濃密度
  • e) 一過性ではなく安定した連帯的団結(一時的な気まぐれではない)

こう考えると、最近日本で流行っているタイガーマスク運動は連帯ではないことがよくわかります(aの成立条件である集団が存在せず、bのような個人の集団がそもそも存在せず、cのような人間関係の構築もなく、dのように、eのような持続性もない)。また、欧米でも単語の意味が発言者の意向でどんどん変わってしまう傾向にあることを認めた上で、ラセト氏はその歴史的経過について説明しています。

連帯という表現が欧州で使われるようになったのは、中世の欧州で職業組合ができ、同業者の間で仲間意識ができてからであり、後にこの表現が労働運動でも使われるようになり、そして20世紀前半には「共通理念」や「共有された利害」および「相互支援」ということで、分野を超えた幅広い労働者の間で使われていました。その一方で、キリスト教側のほうでも人間は神様の前ではあくまでも平等という立場から、階級を超えた兄弟愛という意味合いで使われ始めました。そして、社会正義の文脈から使われ始め、ヨハネ・パウロ2世前教皇によって「連帯原則」が表明されたのです。

さらに社会学の立場からフランスのエミール・ドュルケムは、近代になり個人の人権が確立するようになり個人主義が進む一方で、各個人が自分の目的を達成するためには逆に他人と連携しなければならないという矛盾を解明しようとしました。そして、目的を共有する人たちによる結社としての社会があるというわけです。

その一方で、個人主義的な人間による経済活動を前提とした経済学の立場からは連帯に対する関心は最近まで見られませんでしたが、”C要因” (Factor C)とラセト氏自体が名づけたもの、具体的にはcooperación(協同作業)、colaboración(協力)、comunicación(意思疎通)、comunidad(コミュニティ)、compartir(共有)など、Cで始まるさまざまなスペイン語の単語の意味合いをまとめたものこそが、連帯経済の構築につながっていることは明らかです。

このような背景から、地域社会における失業や疎外などの問題の存在、別の社会運動を通じての人間の絆、自助努力を促す外部からの支援、そして思想などにより、連帯経済が推進されてゆくとラセト氏は結論づけています。

というような内容ですが、みなさんはいかがお考えでしょうか?

スペインにも、協同組合関係の情報を特集したサイトがあるという情報が入ってきましたので、お届けします。

http://empresaytrabajo.coop/ (スペイン語)

この中では、欧州議会が2020年に向けた戦略の中で協同組合の支援を進めてゆく話や、スペインの経済危機の影響を最も受けている移民労働者たちに向けた協同組合設立支援の動きなどが紹介されています。こちらもご参考にしていただければ幸いです。

アルゼンチンの連帯経済情報サイトが最近開設されたという情報が入りましたので、お届けしたいと思います。

http://ansol.com.ar/ (スペイン語)

今のところ、ここで特にご紹介するほどの大きなニュースはありませんが、市民参加型予算編成や、連帯経済組合の製品を行政が優先的に購入するようにという要請など、現地の連帯経済情報がわかる内容になっています。スペイン語がわかる方はご覧いただければ幸いです。

南米のエクアドルで、2月に地域通貨の実験プロジェクトが3つ開始されることになったという情報が入りましたので、お届けします。

http://www.pachamama.org/news/fundacion-pachamama/2011/01/05/currency-projects-begin-ecuador/ (英語)

短い記事ですので、以下全訳をご紹介します。

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パチャママ財団は、エクアドルにおける地域の持続可能な発展を促すために信用組合3つとの間でパイロット・プロジェクトを開始した。これらパイロットプログラムは、地域だけで通用する補完的な支払い手段を使う企業間ネットワークと自営業者の実例を作り、地産地消および地元の資源のさらなる循環を推進する。プロジェクトは、エクアドル全国民衆金融連帯ネットワーク(スペイン語の略称でRENAFIPSE)と提携している。

技能研修および内部プロセスの適合に集中した後、プロジェクトは来月に本運用を開始する。数多くのワークショップが各組合の運営スタッフとともに開催され、地域社会がこれら新規システムの導入に適応するための方法論が開発された。各組合のプロジェクトに対して推進者2名が雇用され、あらゆるレベルでプロジェクトの情報を提供する役割を担う。さらに、複数のプロモーション資料が開発され、この地域交換ネットワークが創造可能なメリットについて地域社会の人が適切に情報を得られるようになる。

12月にはエクアドル中央銀行および全国会議とともにワークショップが開催された。この会議ではオランダのSTRO財団が業績を世界中に伝える上で重要な役割を果たし、パチャママ財団はこれら3つの組合で開発されている事業を発表した。RENAFIPSEは持続可能な地域発展を行う上で補完通貨システムプロジェクトの推進に対して非常に期待しており、信用組合全体の参加が経済活動における推進役になると考えている。

3月30日(水)から4月1日(金)まで英国オックスフォードで開催されるSKOLL世界社会フォーラムについてもお知らせしたいと思います。

サイト: http://www.skollworldforum.org/

これについても社会的企業に関連したイベントということで、毎年同市で開催されているイベントのようですが、ご参考になれば幸いです。



  • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
  • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
  • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると