連帯経済情報@日本語

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フランスの社会的経済の全国規模の連合は社会的経済企業・雇用主・グループ評議会(CEGES)ですが、その前身にあたる共済組合・協同組合・非営利組織全国連絡会(CNLAMCA)によって1980年に採択された社会的経済憲章の全文を、ここで紹介したいと思います。なお、原文(フランス語)はこちらをご参照ください。

  • 第1条 社会的経済企業は民主的方法により機能する。社会的経済企業は、権利義務において平等な連帯した会員により構成される。
  • 第2条 社会的経済企業の会員および消費者または生産者は、その選択した活動形態(協同組合、共済組合、アソシエーション(非営利団体))に従って、その企業に対して組合員として全面的に責任をもち自由に活動を行う。
  • 第3条 すべての会員は、生産手段を等しく所有する。社会的経済企業は、内部組織関係において、相互信頼と配慮をもって教育と情報の永続的な活動によって新しい関係を創造しようと努力する。
  • 第4条 社会的経済企業は、- 各企業に対する機会の平等を要求する。- 各企業の活動の完全な自由を考慮した各企業の発達の権利を明確に肯定する。
  • 第5条 社会的経済企業は、利得の占有、分配、配分についての特別な制度枠内に自らを位置づける。事業の剰余金は、会員を増やすためにのみ、また会員が自分たちだけで管理を行えるようによりよいサービスを与えるためにのみ利用することができる。
  • 第6条 社会的経済企業は、人間的な活動のすべての分野において、個人的集団的展望をもって、永続的な探求と実践の推進と社会の調和的な発展に参加する努力をする。
  • 第7条 社会的経済企業は、その目的は人間への奉仕であることを明言する。

2003年6月に第3回ブラジル全国連帯経済総会で採択された、連帯経済原則憲章の全文を和訳しましたので、お届けします。なお、原文(ポルトガル語)はこちらでご覧になれます。

  1. 起源および現状

労働者らによる歴史的戦いの奪回として、人的労働の搾取に対する防御として、そして人間同士や自然との社会的関係を組織する資本主義的方法への代替案として、今日連帯経済が再登場している。

資本主義の原理において、賃金労働関係 – このシステムにおける労働組織の基本形態 – は人的労働を非常に搾取しているため、労働者は労働組合および協同組合企業を組織することとなった。労働組合は賃金労働者の権利の擁護と獲得の形態であり、そして自主運営型協同組合企業は、賃金労働的搾取への代替案的労働形態である。

この両分野における戦いは常に相互補完的であった。世界における賃金労働の展開により資本主義的人間関係が支配的になり、人的労働を含むすべてが商品化されることになった。

それ以外の形態(地域社会的、職人的、個人的、家族的、協同組合的などの)人間関係の形態は「時代遅れの痕跡」として取り扱われるようになり、資本主義的人間関係に吸収・変容される傾向がますます強まっている。

賃金労働における現在の危機は今まさに、「競争」により平等化される市場において提供および消費される商品へと万物および万人を変容させようとする資本主義の野望を明らかにしている。何百万人もの労働者が雇用から疎外され、権利が保証されない非正規雇用がますます拡大している。また、減らすべきとされる「時代遅れ」とされた労働形態は、社会的疎外者全てを吸収するために実際には増大している。

今日ブラジルでは、過半数の労働者が支配的な資本主義部門、すなわち「保護された」賃金労働関係から外れて日々の暮らしを送っている。資本主義に吸収されるべきものが巨大化したため、これら形態の労働全てが関わり、連帯経済という代替プロジェクトを展開する社会運動によってのみ、その克服が対処可能な巨大な課題を提示している。

この状況において連帯経済、社会的経済、社会的連帯経済、人間的経済、民衆連帯経済、隣人経済やコミュニティ経済などさまざまな名称の下で、世界各地の何百万人もの人たちの命をつなぎ、生活の質をただちに改善する社会的・経済的関係の実践が登場してきた。

しかし、この展望にはさらに先がある。これら実践は連帯的協力関係に基づき、一般的な、そしてとりわけ資本による富の私的蓄積ではなく、経済活動の主体および目的として人間をみなす文化的価値観から着想を得ているのである。

各大陸の先住民における互恵性の実践や、19世紀中盤の英国ロッチデールにおいて生まれ、多様な社会的・文化的文脈の下で洗練・再創造される協同組合運動のような、多様な源泉から刺激を受けるこれら実践例は、さまざまな事業・表現形態を獲得してきた。

  1. 共通点 連帯経済とは

  一般的原則

起源および文化的活力の多様性に関わらず、以下の共通点が見られる:

  1. 人的労働の社会的価値づけ
  2. 技術的創造性および経済活動の軸として、万人の必要の完全充足
  3. 連帯に基づいた経済の下で、女性および女性性の根本的な地位の認識
  4. 自然と調和した取引関係の探索、および
  5. 協力と連帯の価値観。

連帯経済は人間らしさを増大するグローバリゼーションや、地球に住む市民の1人ひとりおよび全員の必要を理性的に充足するための、持続可能で社会的に公正な開発の基盤を構成し、生活の質の持続可能な開発という世代を超えた道のりを進む。

  1. 連帯経済の中心的価値は労働、知識および人的創造性であり、資本やその優位性ではない。
  2. 連帯経済は、連帯的協力関係に基づき、一般的な、そしてよりわけ資本による富の私的蓄積ではなく、経済活動の主体および目的として人間をみなす文化的価値観から着想を得ている実践例を代表している。
  3. 連帯経済は、生産と再生産との間の統合を模索しており、これにより、生産性を開発するものの、その利益から労働者をますます排除しているという、資本主義システムの根本的な矛盾を回避する。
  4. 連帯経済は、生活および消費の質を模索し、世界システムにおける中央と周辺部の市民との間での連帯を必要とする。
  5. 連帯経済においては、能率は事業における物的利潤にとどまらず、会員や生態系全体の生活の質および幸福に関する社会的能率の面からも定義される。
  6. 万人の必要を直接充足するための労働の創出において実現可能な代替案を提示する連帯経済は、社会的排除に対する戦いにおける強力な道具であり、物的不平等を排除し、人間連帯の価値を伝達すべく、社会の生産および再生産を組織することが可能だと実証している。

  具体的な原則

  連帯金融システムを目指して

  1. 連帯経済における中心的価値は、自らの財務における各地域および各国の主権であり、地域レベルから国家レベルまで投融資の自主運営政策を推進する要素である。
  2. 小さな地元のレベルでは: 信用組合、倫理銀行、融資組合、連帯マイクロクレジット機関および互助企業全てが、暴利による利益の集中ではなく会員への融資を目的としており、連帯社会経済システムの重要な要素であり、自らの貯蓄に基づいた基準で庶民のアクセスを推進する。
  3. 大規模で構造的な全国レベルでは: コミュニティ通貨を利用しての、責任を持った法定通貨の分散化とフェアトレードの推進、それによるコミュニティの財務的エンパワーメント、経済活動の目的ではなく手段としての目的を金融が達成すべく資金の流出入の管理および規制、独占を基盤とした暴利および法外な利潤に対する規制の導入、為替レートの公的管理および法定通貨の責任ある発行によりあらゆる投機活動の回避および国内市場に対する国民主権の擁護。

  連帯生産チェーンの発展を目指して

連帯経済は、相互に支援し補完する活動家のネットワークにより、以下の生産チェーンの多様なつながりを連帯的に結び付けることができる:

  1. 有機的かつ活発に、そして地域から世界に至るまで連帯消費を生産、販売および融資に結びつけることで連帯経済は、社会および各経済主体の生産および再生産の必要に応えるという各自の主要目的から経済活動を隔離することなく、各自に対して労働と取引の機会を広げる。
  2. 有機的で包摂的なシステムの一部を構成することを意識した各経済主体は、自らおよび全体の発展への寄与を模索し、万人にとって生活と労働の質の改善をもたらす協同組合の長所およびシステムの能率性を評価する。
  3. 社会的能率および余剰物の利用に関する地域社会代表との意思決定の共有により、万人の生活条件への投資およびその他の連帯企業の創設が可能になり、社会的再生産が活性化される。
  4. 連帯経済は最も近接した文脈に根差した経済・社会活動を提案し、地域性および地域開発を参照枠とし、倫理・連帯および持続可能性という原則を基盤として世界各国に広がった生産チェーン(生産、販売および消費)ネットワークにより強化関係を維持する。
  5. 連帯経済は適正価格での取引ネットワークの発展を推進し、生産の発展における利益が団体間および各国間でより公平に分配されるように努める。
  6. 多様な形態を持つ連帯経済は、富を生産し流通させる手段・資源および道具を用いて個人や社会団体の推進に向けた開発プロジェクトであり、万人の必要への十分な充足および真に持続可能な開発を目指す。

  民主国家内における連帯経済の公共政策の策定を目指して

  1. 連帯経済は持続可能性、経済的・社会的・文化的および環境面での公正、さらに参加型民主主義を目指す総合的開発プロジェクトでもある。
  2. 連帯経済は、市民の権利および責任の積極的な完全行使のために民衆組織間において戦略的な連携の設立を支援し、民主主義および参加型運営を通じて主権を行使する。
  3. 連帯経済は、労働者である市民の直接参加を抑圧する中央政府などの庇護や官僚化した協同組合の慣行なしで、労働者企業および組織の自治に対する尊重を要求する。
  4. 連帯経済はまず、新自由主義的な政策が廃止しようとしている、労働者の普遍的権利の擁護に対して、各国政府の責任を要求する。
  5. (連帯経済は)民主主義が強固で社会自体によりエンパワーされ、その社会のために尽くし、透明で信頼でき、その社会を構成する多様性の統合に加え、社会正義や各市民の権利および責任の行使の確保が可能な政府を推奨する。
  6. 中心的価値は、他国の主権を尊重した形での連携の文脈における国家主権である。民主主義が強固な国家は、社会との対話を通じて参加型民主主義、公的資金や開発の利潤の民主的運営を強化する公共政策を推進できる。
  7. このようにして連帯経済は、資本主義経済および国家経済とは異なり、社会における経済セクターから構成することが可能で、新たな社会的自営アクターの登場とともに社会のためにその新たな権利や規制を導入できる民主国家を強化する。

  連帯経済は、以下のものではない:

  1. 連帯経済は、新自由主義的グローバリゼーションにより発生した社会問題の緩和を目指すものではない。
  2. 連帯経済は、競争および個人の利益の最大化という時代遅れの慣行を拒絶する。
  3. 連帯経済は、地上環境を略奪し、発展途上国の資源と引き換えに先進国の天然資源を汚染し枯渇させる自然や個人の商品化という提案を拒絶する。
  4. 連帯経済は、万人の福祉のために市場が自己制御でき、社会的プレイヤー間の関係における最高の方式が競争であるという信仰に対抗する。
  5. 連帯経済は、人間の必要は商品という形態でのみ充足でき、また個人的利潤や資本蓄積の機会であるという信念に帰結する資本主義市場の論理に対抗する。
  6. 連帯経済は、労働者の大部分が富の生産手段や資源の運営管理に参加せず、給与へのアクセスを失い資本主義市場から排除される労働者や家族の数が常に増大しているという、失業の増大を伴う世界に対する代替案である。
  7. 連帯経済は労働者同士、企業同士および国同士を対決させ、万人の万人に対する絶えざる弱肉強食の戦いの中で強く金持ちで、往々にして政治腐敗を伴うペテン師が勝利を収めるような資本主義市場の枠組みの中での競争を否定する。
  8. 連帯経済は、物的富へのアクセスを得られる者の数がますます制限される一方で、悲劇や絶望しか共有できない者の数が急増している資本主義の螺旋的論理の反転に努める。
  9. 連帯経済は、経済活動における環境、社会および文化的価値観を考慮しない生産・営利的価値に単純化される、富の概念や評価指標に反対する。
  10. 連帯経済は、政府の社会的義務を代替し、権利の主体者としての労働者の参加を抑制するいわゆる第3セクター(非営利セクター)と混同されてはならない。連帯経済は歴史的な主体である新たな社会的プレイヤー労働者の登場に賛同する。

さて、スペインのバルセロナ市役所が、社会的連帯経済の推進に65万ユーロ(約8320万円)を投入すると発表しましたので、こちらでもお知らせします。

http://www.eldiario.es/catalunya/barcelona/Barcelona-economia-cooperativa-solidaria-desigualdades_0_474903317.html (スペイン語)

バルセロナ市は、日本を含む世界各地からの観光客で毎日賑わっていますが、同時に地区によって貧富の格差もかなりある都市です。バルセ ロナ市内の地区ごとにおける平均収入の格差を紹介した新聞記事によると、平均所得が最大の地区(市内 平均の251.7%)と最小の地区(市内平均の34.7%)では7.25倍もの所得格差があることから、もともと住宅ローンを払えなかった人の自宅からの強制退去に反対する活動家として有名だったアダ・コラウ市長は所得格差の是正にも積極的で、その手段として社会的連帯経済を推進することにしました。ちなみに、バルセロナを訪問された方向けに、どこが高級住宅地でどこが低所得者層の多い地域かを、主要観光地にもとづいて説明すると、以下の通りになります。

  • 最高級住宅地: グエル公園のあるあたりの高台
  • 高級住宅地: パセッチ・デ・グラシア周辺、ディアゴナル大通り沿い
  • 中の中~中の下: サグラダ・ファミリア、中心街、バルセロネタ・ビーチ、サンツ駅(国鉄の中心駅)周辺
  • 低所得者の多い地域: スペイン広場やモンジュイック公園周辺。北東部も低所得者地域だが、観光客はあまり足を運ばない(ジロナ方面に行く場合に通過するのみ)。

具体的には、以下の形で社会的連帯経済を推進してゆくようです。

  • 社会的連帯経済関係の企業や雇用創出、人材育成
  • 連帯経済年ネットワークの創設
  • バルセロネタ地区(バルセロナ市内のビーチ沿いの下町地区)での雇用や教育水準の向上プログラムへの参加
  • サンツ地区(高速鉄道など長距離列車の発着する駅のある地区)やモンジュイック地区(五輪記念公園で有名だが、地区としては低所得者が多い)で連帯経済関係のアクションを起こす
  • サンツ地区のように協同組合の伝統が強い地域で連帯経済を推進する
  • 北東部のポルタ地区で市民農園による農業を推進
  • ポブレノウ(海辺の庶民地区)で自転車修理工場を協同組合として立ち上げ
  • 主に女性が組合員となっている協同組合など20団体へのフォローアップ
  • 上記とは別に、女性中心の企業20件を推進するプログラム

バルセロナ市では2012年から、毎年10月にカタルーニャ連帯経済見本市(公式サイト(カタルーニャ語)第3回2014年の様子の動画)が開催されていますが、今後さらに面白い展開になりそうで、楽しみです。

さて、中国における社会的経済についての事例をまとめた研究書「中国および世界における社会的経済」(英語)が刊行されましたので、ご紹介したいと思います。

https://www.routledge.com/products/9781138857971

同書では諸外国の例も紹介されていますが、特に情報が欠けている中国語圏(中国、香港、台湾)に関しても、論文が5つ掲載されています。ご参考になれば幸いです。

さて、マイクロクレジットの提供に加えて、地域通貨を発行し、地域発展に寄与していることで世界的に有名な、ブラジル・フォルタレザ市のパルマス銀行に関するドキュメンタリー(英語字幕版、1時間)が公開されましたので、こちらでもご紹介したいと思います。

元スラム街の自発的な開発の物語ということで、日本にそのまま応用することは難しいかもしれませんが、地域住民の相互扶助や地産地消型経済の実現を通じた経済発展など、学ぶところが多いかと思います。日本で同様の事例といえるNPOバンクにも通じるコツがあると思うので、ぜひご覧いただければ幸いです。また、在日ブラジル人コミュニティにこのドキュメンタリーを見せて、反応を聞くのも面白いかもしれません。

さて、国際労働機関(ILO)が2010年から社会的連帯経済アカデミーを開催 している話は以前もお伝えしたと思いますが、今年はブラジルはサンパウロ州のカンピーナス市(サンパウロ市内からは北北西に100km)で、7月28日(月)から8月1日(金)までの日程で開催される予定です。

http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—ed_emp/documents/event/wcms_237666.pdf  (英語)

このブログで何度もお知らせしている通り、ブラジルは世界的に見て連帯経済の先進国として非常に高い評価を受けており、同国内でもさまざまなイベントが開催されていますが、基本的にブラジル国内で開催される会議はポルトガル語(同国の公用語)のみで行われるため、ポルトガル語あるいはスペイン語がで きる人以外にとってはアクセスが非常に困難です。ただこのアカデミーでは英語も公用語になるので(英語・フランス語・スペイン語・ ポルトガル語)、ブラジルの連帯経済について学びたいと思っている方には最高の機会だと思います。

参加費が1500ユーロ(約21万円)、それに加えてブラジルまでの交通費+ビザ代(日本国籍の方はブラジル入国にビザが必要)+宿泊費がかかるということで、正直かなり高いアカデミーですが、連帯経済先進国の動向を知るまたとない機会ですので、日本からもどなかたぜひご参加いただければ幸いです。



  • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
  • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
  • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると