連帯経済情報@日本語

Archive for 11月 2012

さて、第2回世界連帯経済フォーラムが、来年7月11日(木)から14日(日)の予定で、ブラジル最南部リオ・グランデ・ド・スル州のサンタマリア市で開催されることが決まりましたので、お知らせしたいと思います。

関連情報(ポルトガル語): http://www.fbes.org.br/index.php?option=com_content&task=view&id=7259&Itemid=62

なお、2010年1月に開催された前回(第1回)のフォーラムには私も参加しましたが、そのときの報告書(日本語版)はこちらです。

日本からは地球の反対側ということで、遠隔地ではありますが、世界で最も連帯経済が活発なブラジルの事情を知る良い機会ですので、もし可能でしたら参加をご検討くださいませ。なお、7月の当地(南緯29度41分、標高151m)は真冬で、日本の真冬並みに冷え込みますので、その点はご注意くださいませ。今後詳細情報が発表されたらまた案内いたします

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さて、中国の社会的企業についての報告書について情報が入りましたので、以下要約をお届けしたいと思います。なお、原文(英語)はこちらでお読みいただけます。

http://www.bsr.org/reports/FYSE_China_Social_Enterprise_Report_2012.PDF

中国で社会的企業という概念が話題になり始めたのは2004年のことで、2006年には社会的企業についての本2冊の中国語訳(そのうち一つはグラミン銀行創設者のモアマド・ユヌス氏のもの)が刊行されましたが、中国社会で本格的に話題になり始めたのは2008年の四川大地震からです。日本でも1995年の阪神大震災により行政だけでは十分な支援ができないことが明らかになってからNPOが台頭し始め、1998年の特定活動非営利法人法の制定に至ったのですが、中国でも同様の状況から社会的企業や非営利団体が注目され始めました。ただ、あの地震からまだ5年も経過していないこともあり、まだまだ萌芽期にあると言えます。また、従来社会的企業を推進してきたのはブリティッシュ・カウンシルおよびグローバル・リンクス・イニシアチブですが、最近では外国で社会的企業の実例に接した人たちによる実践も始まっています。

中国では、社会的企業という意味で、「社会企業」、「社会創業」および 「公益創業」という3つの異なる概念が使われており、それぞれが微妙な意味合いを持っています。英語のenterpriseには事業革新やベンチャーという意味もありますが、中国語の「企業」にはそのような概念が存在しないため、中国ではその意味合いを強調する意味で「創業」としているようです(日本だったら「起 業」に相当するのかもしれません)。

Global Links Initiative(日本語・英語・中国語): http://www.glinet.org/

この調査の対象となった社会的企業の創設者についてですが、そのうち63% は31~41歳で、全員大卒です。そのうち半数近くは留学あるいは外国勤務の経験があり、その外国での体験を中国に持ち帰っているのですが、最近ではこの率が下がりつつあり、中国国内にずっと住んでいた人も社会的企業を起こす率が高まっているようです。また、企業家の42%、そして従業員の70%超が女性で、女性のほうが自分たちの社会的企業を起こす率が高いものの、利益の確保や雇用創出の面では男性が起こした企業のほうが優れているようです。雇用創出についてですが、41%が4人以下、38%が5~10人で、11人以上の雇用を生み出しているのは21%だけとなっています

活動範囲ですが、63%が市町村レベル、13%が省レベル、17%が中国全国レベ ルで、国際的に活動している団体は8%にとどまっています。また、3分の2が北京 あるいは上海を本拠地にしており(北京50%、上海17%、それ以外33%)、これにより優秀な人材や資金の確保が容易になっているものの、教育水準や社会インフラなどの面で地方都市や農村とはかなりの格差がある点が課題となっています。さら に、法人形態としては66%が通常の企業となっており、この他には農協やNGOという形態を取るものもあります。

発足からの年数ですが、54%が発足後3年未満という新しいもので、5年以上 の歴史を誇るものは38%しかありませんが、この割合は増える傾向にあります。 また、事業規模としては71%が50万元(約640万円)未満であり、1000万元(約1億2700万円)以上稼 ぐ団体は調査対象54社の中で2社しかありませんでした。経営状況としては黒字企業が42%、収支トントンが33%で、25%は赤字となっています(特に発足後1年未満の企業では60%が赤字)。また、1人で始める事業よりも複数人で始めた社会的 企業のほうが経営状況が良好なようです。

当然ながら、資金難は中国の社会的企業においても深刻な問題になっています。56%は運転資金に苦しんでおり、投資資金を望んでいるのは44%に過ぎませ ん。また、外国からの寄付は政府系の大手団体に行きやすく、その一方で中国国内ではまだまだ篤志家が少ないことから、社会的企業が資金を得るのは容易なことではありません。また、中国では社会的企業に対する法制度が存在しないこと から、通常の営利企業と同じ土俵で経営を行わざるを得ず、ここが経営の苦しさ につながっています。ただ、社会的福祉企業という概念が存在するため、これに 含まれる企業であれば付加価値税の減免などが得られるようです。

主な課題としては、以下の通りとなっています。

  • つなぎ融資へのアクセス
  • 求人および能力開発
  • 政府の政策
  • 創業資金へのアクセス
  • 従業員のつなぎ止め

そして、以下のような勧告も行われています。

  • 組織全体に対して能力開発を提供
  • 社会的企業のサポートプログラムのパイプ作りに集中
  • 早期社会的企業へのサポートプログラムを強化
  • 社会的起業家同士の個人間教育を実現
  • サポート組織が国外の事例を中国の文脈に適合させた形で紹介
  • 異業種提携を推進し、能力開発を簡便化して、戦略的提携を通じて規模を達成
  • NGOだけでなく社会的企業への投資も考慮
  • 投資からのリターンが限られており、遅れるものであることを認識
  • 創業資金を提供して、社会的企業が自分たちのモデルを運営できるようにする
  • 投資と能力開発の組み合わせ
  • 運営への支出を増大
  • 大学が、大学生に社会的企業で働くよう推奨
  • 市場のニーズを満たすように大学のカリキュラムを補正
  • 政府は法人形態に関係なく社会的企業に資金を提供
  • 政府は各地のアプローチを把握して、全国単位に拡大

また、以下の事例が紹介されています。

  • 篤摯: 広西チアン自治区および貴州省の職人が作った銀細工を販売。
  • 蒲公英: 中国では都市戸籍がない人の子どもは就学することができませんが、そういう人たち向けに北京市内で運営されている学校。
  • スターフィッシュ・プロジェクト: 長時間低賃金工場労働の対象になり がちな貧困層の女性に、中国国内で容易に入手できる素材から宝石を作らせ、米 国など国際市場に販売。
  • 金田自閉症健康回復訓練センター(北京市)

以上、ご参考になれば幸いです。



    • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
    • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
    • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると