連帯経済情報@日本語

Archive for 11月 2010

ルクセンブルクは欧州でも小さな国の部類に入りますが(人口約50万人、面積は神奈川県程度)、連帯経済の世界的ネットワークRIPESSの第4回会議が昨年4月に同国で開催されたこともあり、連帯経済関係のネットワークが比較的整っている国です。今回はこのルクセンブルクから、連帯経済に関する情報を発信しているブログをご紹介したいと思います。

http://www.ecosol-online.lu/ (フランス語・ドイツ語)

ルクセンブルクは、フランスとドイツにはさまれた場所に位置することもあり、同国では地元のことばであるルクセンブルク語に加え、フランス語とドイツ語が幅広く通じます。このことから、同じ新聞の中にフランス語とドイツ語の記事が混ざっていることも少なくありません。とはいえ、同国の公式文書はフランス語で書かれていることから、フランス語の記事のほうが多いと言えます。

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さて、フランスの社会的連帯経済についての関連資料が刊行されましたので、ご紹介したいと思います(フランス語)。

http://www.cres-bretagne.org/images/stories/panorama_france_2010.pdf

なお、ここでは社会的連帯経済という表現が使われていますが、フランスでは60年代頃よりアソシアシオン(日本の特定非営利法人(NPO)に似た存在、なおフランスでは1901年法(Loi de 1901)の範疇における法人をアソシアシオンと呼ぶ)、生産協同組合、共済組合そして財団をまとめて社会的経済という表現が使われています。現在では社会的連帯経済(仏: économie sociale et solidaire、英: social and solidarity economy)という表現が使われていますが、これは連帯経済という表現が特に南欧(イタリア・スペイン)や中南米で盛んに使われていることを受けてのものであり、この文章を読む限りはむしろ連帯経済というよりも社会的経済の枠組みで紹介されているようです(フェアトレードや地域通貨などについて言及がないため)。

それはともかくとして、これによると、社会的連帯経済とは関係ない私企業の従業員が約1472万人、公務員が約582万人であるのに対し、社会的連帯経済に従事している人は約226万人ということで、総雇用数のうち9.9%が社会的連帯経済関係となっています。また、フルタイムの労働者として見た場合でも約189万人(9.3%)が該当し、その給与総額は531億ユーロ(約6兆円)となっています。

さらに、2006年から2008年にかけて、公務員(-0.8%)や私企業(+1.8%)と比べても社会的連帯経済(+2.4%)のほうが雇用の増加率が高く、新しく作られた雇用のうち5つに1つが社会的連帯経済によるものとなっています。

また、これら各分野における雇用のうち一番多いのがアソシアシオンで、約143万人をフルタイムで雇用しています。これに続くのが生産協同組合で約29万人、共済組合が約10万6000人、そして財団が約5万3000人となっています。なお、これら4分野は連帯経済というよりも、社会的経済という伝統的な枠組みで計算したものです。また、この中で雇用増加率が一番多いのは財団(+4.6%)ですが、アソシアシオンも+2.7%という高い増加率です。

さらに、社会的連帯経済では女性の存在が大きいことも特徴です。被雇用者(フルタイム+パートタイム)のうち約150万名が女性であるのに対し、男性は約76万人にとどまっており、実に3分の2が女性となっています。これは、男性が約887万人であるのに対し、女性は約582万人にとどまっている民間部門や、女性のほうが346万人と男性(236万人)よりも多いものの、割合としては60%未満になっている公共部門よりも多いものです。また、役員の男女比は公共部門が女55:45男、民間が男70:30女であるのに対し、社会的連帯経済では女54:46男です。

業務分野ですが、社会的アクションが一番多く(約85万人)、次いで教育(約34万人)、金融保険(約25万人)などとなっています。さらに、地域的に見るとフランス北西部(ブルターニュ地方、バス・ノルマンディー地方、ペイ・ド・ラ・ロワール地方およびポワトゥー・シャラント地方)や南部のラングドック・ルシヨン地方で比率が高い(12%以上)のに対し、パリ首都圏は比率が低く(9%未満)なっています。物価が高いと同時に給与水準も高いパリ首都圏で社会的連帯企業による雇用が比較的少ないことが、全国平均で見た場合の社会的連帯企業の従業員の低賃金につながっているのかもしれません。

現地時間で10月31日(日)にブラジルの次期大統領としてジルマ・ルセフ女史が選ばれましたが、彼女は連帯経済法を承認する意向を示しています(詳細はこちらで)。

また、こちらの公約では、連帯経済に関して以下の13か条を約束しています。

  1. 連帯経済の全国政策と、持続可能な発展に向けた国の戦略との統合を推進する。
  2. 連帯経済の強化を推進し、連邦政府・州政府・市役所および町村役場との間での連携を可能とする連帯経済全国システムを構築する。
  3. 連帯経済企業に対するプログラムおよび融資プログラムのための予算を確保する。
  4. 連帯経済の企業を視覚化し、その公式化を促進する法的手段を完成させる。
  5. 公的資源へのアクセス、融資および企業の設立のための手続きを完成させ、連帯経済の発展に有利な政府機構環境を推進する。
  6. 知識および技術へのアクセスを完成させる
    ・とりわけ、社会技術プロジェクトに関して、連帯経済に向けた技術および刷新を推進
    ・連帯経済の企業に適した人材養成・技術アセスメントおよび職業資格の政策を推進
    ・あらゆる水準に向けて、連帯企業の労働者教育へのアクセスを拡充
  7. 連帯経済企業の運転資金、資本金および備品購入のために適切な連帯金融の仕組みを開発および推進する。
  8. 連帯販売の実例を推進し、公共部門による商品およびサービスの購入へのアクセスを容易にする仕組みを強化する。
  9. 社会的プログラムの受益者向けに、生産活動への組み入れ、経済参加および雇用と収入の創出のための政策として連帯経済を発展させる。
  10. 特に中南米(メルコスル(南米共同市場)およびウナスル(南米諸国連合))やアフリカにおいて、国際統合の戦略の中で、連帯経済を認識および促進する。
  11. 政府の各部署や政策と連携して、連帯経済の公共政策の分野を超えた提携を強化する。
  12. 連帯経済のための政府の政策の完成を続け、資源を保証し、この分野のための公共政策の策定、運営および実施のための能力に投資を行う。
  13. 連帯経済全国会議および連帯経済の政策やプログラムへの参加、社会的制御およびフォローアップの推進役として、連帯経済国立審議会を設立する。

ルセフ女史の任期は来年1月1日から4年間ですが、今後もブラジルでは連帯経済の動きが面白そうです。


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  • 鶴岡達也: 初めましてこんにちは。 たまたまこちらの記事にたどり着いたのですが、地域通貨の国際大会が行われたと知
  • トラネコ (@Toraneko280): 政治が無策でも世界は手を差し伸べてくれる。大航海時代を開いたポルトガルは不思議に日本的な部分が有る。
  • ほんだ さちよ: すごくおもしろい企画ですね。わたしはベルギー在住ですが、ベルギーでも農業という形で受け入れてくれると